町家再生プロジェクト始動
『総務省のローカル10000プロジェクトに採択されました!』
弊社の古民家再生事業が総務省の「地域経済循環創造事業交付金」に採択されました。(令和3年5月31日公表)高梁市で初となるローカル10000プロジェクトで、市内で空き家となっていた町家を宿泊施設として再生します。
『古民家を再生して高梁市で何をしたいのか?』
そのような質問を受けることが多いので、弊社の考えを簡単にまとめてみました。
高梁市の本町通りと課題
改修中の町家・古民家が位置する高梁市の『本町通り』は、城下町高梁において最も古い商家の町並みが残っており、江戸時代には『松山往来』と呼ばれていた街道です 。城下町の町割りの中で最初にできた通りと言われており、高梁川沿いにあるため16世紀頃から高瀬舟によって物資の輸送が盛んに行われました。物資の中継地として機能していたため、鉄道の開通までは高梁川沿いの本町通りは問屋や豪商の屋敷が立ち並ぶ商売の中心地として大いに栄えました。
しかしながら、現在の高梁市は県下でも高い人口減少や少子高齢化・空き家の増加といった問題に直面しており、備中の中心地として栄えたかつての活気は急速に失われております。高梁市は本町通り周辺を『歴まちコアエリア』と位置づけ、歴史的町並み保全のため空き家の利活用や移住・定住を促進を図っていますが、思うように若者や移住者は増えておりません。このような負の連鎖を断ち切るためには、『しごと』が『ひと』を呼び、『ひと』が『しごと』を呼び込むような好循環を生み出し、その好循環を支える『まち』に活力と魅力を取り戻すことが重要です。
では、どうするか?
空き家となっていた古民家の購入と再生
このようなことを悶々と考えている中で、2019年に本町通りの元豪商の邸宅が空き家として売り出されていることを知りました。空き家は、本町通りにおいてひときわ目を引く池上邸(現在は高梁市商家資料館、同じく元豪商の邸宅)の向かいにあり、高梁市が指定している歴史町並み保存地区の中心エリア『歴まちコアエリア』にあります。弊社は、元豪商の歴史的建造物ですら空き家として売りに出されてしまうという高梁市の厳しい現状に強い危機感を覚えました。
『このような歴史的建造物を空き家として放置して良いのか?』
『美しい城下町の景観はどうなってしまうのか?』
『空き家物件を再生し、観光拠点として何かしらの新しい事業ができないか?』
こう考えた弊社は、自らが好循環のドライバーとなるべく空き家を購入し、宿泊施設として改修することで歴史的建造物の再生を図ることを決めました。このような事業は、高梁市に眠る観光資源を新たな交流拠点として機能させる取り組みであり、高梁市の交流人口や関係人口の増加に寄与すると考えております。本宿泊施設を通して、高梁市の豊かな自然や城下町の歴史や文化を多くの人に見て、触れて、感じてもらうことにより、観光地としての魅力がアップし、地域に活力と賑わいを創出できると考えております。
高梁市のSorrisorisoを目指す
長崎県に東彼杵(ひがしそのぎ)町という小さな町があります。人口は7700人ほどとのことで、高梁市と比べると4分の1ぐらいでしょうか。その町でわずか5年間の間に20店舗以上の新たなお店がオープンし、新規移住者が増えているという記事を読みました。きっかけは、2015年にまちの拠点『Sorrisoriso』ができたことにあるそうです。
Sorrisoriso の事例は、小さな町でもたった1つのきっかけで好循環を生み出せる、『しごと』が『ひと』を呼び、『ひと』が『しごと』を呼び込むことを証明しています。また、多くの店の開業につながったSorrisorisoのユニークな『パッチワークプロジェクト』(試験的にSorrisorisoの中で小さく商いを始め、お客さんがついたら独立する開業の養成所)はまさにリーン・スタートアップの考え方であり、弊社も高梁市でSorrisorisoのような活動を行いたいと考えております。
高梁市の本町通りは備中の中心地、商売の中心地として何百年に渡って栄えた歴史があります。古くから『商売人』の通りである本町通りを復興させることで、移住者や地元での起業家を増やし、減少の著しい若年層や働く世代の市内定住促進につながるのではないかと期待しており、その最初のプロジェクトとして町家再生プロジェクトを始動しました。
『あんな古い空き家を購入して何するの?』
と聞かれることも多々ありますが、今後プロジェクトがどのように発展していくのか、乞うご期待!
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